拍手がなければ海の藻屑

いかにドラマティックに脱衣するかを追求していくTuna Mermaid(トゥナ・マーメイド)の情報と文章。

バーレスクはいいぞと語るうちに気付くと「ああいうのとは違うんです」とか言い出して失礼になる【後編】

 前編にて、バーレスクのおっぱいファンタジーが大好きだ、みたいな話をしました。自分はずっとおっぱいファンタジーが嫌いだと思っていたけど、実はおっぱいファンタジーには好きな感じなのもそうじゃないのもあって、ただ好きじゃない感じのものを見ることが多かったからおっぱいファンタジー自体を避けてきていただけだったんだ。とバーレスクを見るうちに気付いた、みたいな話です。あ、「おっぱいファンタジー」はエロとかセクシーとかのコンテンツの話をしたくて作った造語です。前編読んでみてください↓

 

バーレスクはいいぞと語るうちに気付くと「ああいうのとは違うんです」とか言い出して失礼になる【前編】 - 拍手がなければ海の藻屑

 

ついでに中編も↓ (アギレラバーレスクの字幕をちょっとだけ研究)

バーレスクはいいぞと語るうちに気付くと「ああいうのとは違うんです」とか言い出して失礼になる【中編】 - 拍手がなければ海の藻屑

 

 

  さてそうは言っても普通にしていると好きじゃないおっぱいファンタジーに出会うことのほうが多くてですね、とりあえず世間一般で流通してるものは自分向きではなさそうだというのが今のところの結論です。だからおっぱいファンタジー全部シャットアウトしておけば嫌な思いをすることはなくなるわけですが、だがしかしおっぱいファンタジーは見たい……!もちろん最終的なゴールは「だからバーレスクを見に行こう!」ではあるんですが、その前に、自分が何が嫌なのかを自分で把握しておこうかな、と思いました。そうすれば、バーレスクの外で暮らしてるときも不幸な出会いをしなくて済みそうかなって。

 

 

深夜番組の思い出

 でもそういえばなんで嫌なんだろう。なぜ……うーん、なぜを知りたいときになぜを聞いてもそりゃ出てこないよね、5W1H、とかしてみようか、いつ、いつからだろう?10代のときには「トゥナイト2」とか隠れてこっそり見てたから違うかな、でも本屋のエロ本コーナーに近寄って勝手にダメージ受けたりしてたから、やっぱりその頃からかな。嫌なものをわざわざ買ったりしないし、そんなに具体的な記憶じゃないんだよな。ああでも、いっこ具体的なのあるかも。トゥナイト2よりもっと遅いような時間帯の深夜番組で、水着のお姉さんがいっぱい出てくるやつ、「過激なエロ番組」みたいな触れ込みで。遅い時間だからもっとすごいんだろうって期待とかしたのかもしれない。

 

 男性の司会者が水着のお姉さんたちとプールサイドでゲームをする、みたいななんてことない深夜番組の1コーナーでした。司会の男性が色黒茶髪で派手なシャツでイケイケオラオラな感じだったのだけはよく覚えてる。内容はほんとによくある感じで、水着のお姉さんはゲームに勝ったらアピールタイムもらえて負けたら罰ゲーム、みたいなそんなやつ。で、どんなゲームだったかは全然覚えてないんだけど、終盤入ってこれに勝ったら10万点!みたいな、今までのゲーム全部帳消し!みたいな、えーひどーいなにそれ~!みたいなので盛り上がる、みたいなお約束が入って。で、その10万点入るゲーム?が、カメラの前で口を「お」の形にして、司会者がいいよって言うまで静止する、っていう内容だったんだよね。文章で言ってもよくわかんないんですけど、要するに、フェラチオのときの顔をカメラの前でアップで見せろって、そういうのです。

 

  で、どうなるかというと、水着のお姉さんは「やだーーw」って言うわけです。でもやだーって言うと「なんで嫌なの、なに想像したの?w」ってなって、「やだーわかんなーいw」ってなって「なにそれ知ってるでしょ意味わかってるでしょw ほらーカメラさーん!こいつ意味わかってますよーー!www」って顔隠そうとする水着のお姉さんが、羽交い締めで手をどけられて半笑いの涙目顔をアップにされるっていう。一方で、「えーわかんないですー」って言うお姉さんもいて、そうするとお姉さんはフェラチオ顔することになるんだけど、そしたらそしたで「うーわー無知ってこわいねw こいつ全国のカメラの前でこんな顔してますよ、お父さーんお母さーんw ていうかわかっててやってんじゃね、策士w でもその策士が、見てこの顔www」みたいな言われようで、お姉さんの引きつった笑いのフェラ顔アップという、どっちにしろ地獄じゃんとしか感想出てこない、そんなやつ。

 

  いやわかってるのです、深夜帯の水着のお姉さんは売り込み中の女優さんの卵とかで、そのために今やりたくもない仕事に耐えてがんばってるんだってことは。そしてオラオラ司会者も番組の構成の都合とかで仕事としてやってるんだってことは。カメラの前にいる人は誰もやりたいことやってたわけじゃなく、視聴者と番組の都合でそういう番組の1コーナーがあったんだろうなってことぐらいはわかるのです。需要がね、あるから供給するんだもんね、わかるんです。いやいやもっとひどいのいっぱいあるよこんなの普通じゃん、って言う人もたぶんいることでしょう。そこまでわかってるのが大人ってなんだよ、って。で、私もそういうわかってる大人にならないといけないと思って、そうだよねエロってこういうことだよねって納得してきたように思います。裸の女の人がいて、男の人が笑ってて、で女の人はいつも涙目な感じ。もしくは顔で笑って心で泣いて、みたいなそういうの。ここまでガチに嫌がる感じじゃなくても、でも女の人が嫌がってることがうっすら見えるような。そういうものがエロなんだと思って何となくここまできたような気がします。

 

 バーレスクはいいぞ、と言ってみるものの

 さてバーレスクには涙目の人が全然いない、というのは見てる方にはわかってもらえるのじゃないかと思います。とりあえず私は今のところ見たことなくて、みんな楽しそうだしエレガントだし中にはドヤァな人もいたりするし、涙目の人いないから見てて全然辛くならない!辛くならないけど、でもエロ(おっぱい)なのです、素敵!バーレスクのおっぱいは見てて楽しいよ、みんな見に来なよ、ああいう辛そうな人とか全然いないからさ!

 

 ……って、 さくっと言えたらこんな簡単なことはないんですけど。これだとバーレスクのおっぱいはいいもの、バーレスク以外のおっぱいは悪いもの、そういうふうに聞こえませんか?聞こえないならいいのですが、しかし私は実際ほんとにそう思ってた時期があります。

 

 バーレスクのすぐ隣にストリップという芸能ジャンルがあります。それぞれどう違うのと聞かれたら、バーレスクはペイスティとGストリング着けてる状態までで、ストリップは全部脱ぐものだよ、と皆さん答えると思います。さてストリップ見ないでバーレスクだけ見てバーレスク素敵!と思ってた頃の私がこれを聞いてどうなったかというと、じゃあ、バーレスクはいいものでストリップが悪いものなんだな、と頭の中で線引きをして納得する人になりました。全裸にならないもんね、違うよねって。今考えてみるとひどいなあ。しかしそんな納得をしたつもりでも、頭の中の線引きが現実と噛み合わないのには段々と気付いていかざるを得ません。バーレスクの本読んだらストリップティーズがどうのって書いてあるしバーレスクレジェンズにはストリッパーって肩書き付いてたりするし、というかペイスティ付いてるって言ってもほぼおっぱい出てるよねそんなに違わなくね?って。そして、話をしてみたバーレスクダンサーさんは誰もストリップを毛嫌いしてる様子がなかったのです。あれ、これおかしいぞ。

 

 ストリップのイメージといえばつかこうへいの「ストリッパー物語」に出てくる人で、踊れもしないのに踊り子と呼ばれてペラい衣装着せられて裸になって、まな板ショーやらされてヒモに振り回されて最後は梅毒で死ぬ、みたいなそういうのでした。そういう可哀想な人見るのやだなあ、って本気で思ってました。でもね、よくよく考えてみればその昔バーレスクのことも見る前に避けてて、女の人が裸になって踊るんですかじゃあいいですって10年見に行かなかったのです。見ないで決めてかかって大失敗という。そういやそういうことあったしな、見ないで何か言うのは良くないもんな……。仕方ない、ストリップ見に行くか……。とネットで調べて浅草まで行ったのでした。

 

ストリップも、いいぞ?

 実際見てみてわかりました、うん、私間違ってたわ!全部、全部間違ってた!ごめんなさい、すごく素敵でした!いやー、可哀想な感なんてないし見てて全然辛くない!むしろ朗らかな気持ちになる!なんか、ねー!もう見ないで決めてかかるとこうなっちゃうじゃんなんだよもー、もっと早く教えてよこれいいじゃんー!って、いろいろ棚に上げてとてもいい時間を過ごしました。

 

 いやー、見ないで決めてかかるのほんとよくないわ。

 

  その後いくつかストリップ劇場も回ってみたりいろんな踊り子さん見てみたりするようになりました。理解のためというのもあるんだけど、でも自分の楽しみとしてっていうほうが大きいかな。2~3カ月に1回くらいだからすごいしょっちゅう行くわけじゃないけど、でも今日ひまだから映画でも行こうかなーストリップもいいなー、なんて選択肢に入るぐらいの感じで。で、そうやって見てるうちに、ストリップはバーレスクとは形式含めてなんだか全然違うけど、でもどっちも素敵なものだ、と自分なりの納得の仕方ができたように思います。どちらかというとストリップは日本のおじさんのための大衆芸能で、だから演歌みたいなもので、それで言うとバーレスクシャンソンみたいな感じで、でもどっちも庶民の心を歌ってることには変わりないよね、みたいな。うーん、これ怒られそうかな……。現時点での個人の感想ということで。で、需要は、うん、おじさん方の需要はあるよね、でも需要で始まるからって見てて辛いものになるわけじゃないんだよね、そりゃそうだよね。

 

線引きするのはどうやらあまりうまくない

 さて、ここまでで私の狭量な線引きは、2回とも失敗に終わってしまいました。

1. 服脱いでたら悪いものだ → バーレスクは素敵でした

2. 全裸になってたら悪いものだ → ストリップは素敵でした

 ここでさらにストリップとストリップじゃないものに線引きをするという手もあるわけですが、さすがに気付いてきます。これ、うまくいかなさそう。

 

 うまくいかなかった理由はたぶん2つあって、1つは見てないうちに中身を決めてかかってたこと。賢者は歴史に学んで愚者は経験に学ぶらしいけど、どうやら私は愚者の側のよう。自分で見て経験してみたらゴロっと意見変わっちゃうのね。でもこれでよかったと思ってるよ。あともう1つは線が引けると思ったら、線引いて安心してそこで思考停止しちゃってたこと。自己弁護すれば、水着の深夜番組みたいに嫌な思いすることが多かったから避けて通ってたわけだけど。でもその嫌な気持ちの恨みつらみで線の向こうをまとめて「ああいうのはさーwww」って言ってなかったかというと……。直接ぶつけることはなかったと思いたいけど、ちょっと自信ない。気付いてないうちに誰かぶん殴っててしかも自分悪くないですみたいにしてたら、もう失礼とか通り越してただのひどい人だよ……。

 

 先に、涙目感があるエロコンテンツが嫌だって話をざっくりしたけれど、実はそれ以外にも嫌だなポイントはたくさんありそうです。うん、さっき「エロ」をGoogle画像検索したらけっこう嫌だった。でもずっと「エロコンテンツ=嫌なもの」って線引きしてちゃんと考えてこなかったから自分が何が嫌なのかよくわかんないのです。だから、AVとかのあの感じはなんかやだなって思ってても、ちゃんと見てみたらそうじゃないかもしれないし、少なくとも嫌じゃないものが混じってたりもするんじゃないだろうか。いっこいっこ見てったら、これは好き、これはやだ、ってなる可能性はあるんじゃないだろうか。そういえばバーレスクもストリップも大体好きだけど、でも隅から隅まで全部必ず好きってなわけじゃないしな。もしかして、これまで嫌だなと思ってた「ああいうの」は、実体のないものだったりするんだろうか。

 

 どこかで線引いて「ああいうのとは違うんです」って言うと、世間の人を説得するのがとても簡単になるんですよね。みんないっこいっこ見て確かめるなんてめんどくさいもの。でも線を引いて「あれとは違いますこれはいいものです」って言い方をしてたら、「あれ」はどんどん悪いものになっちゃうでしょ、直接そう言ってなかったとしても。世間の人はそんないい人ばかりじゃないから、線が引いてあって自分とは違うと思ったら線の向こうを容赦なく罵りたいって欲がある、ってのはみんな知ってるでしょ。たぶん私もそれやってきてるとは思うけど、でもそれでも、というかだからこそ、線を引かない努力ぐらいはしないとなんです。せめて、何か言うときには見てから言う。そのぐらいはしないと。

 

【前編】

tunamermaid.hateblo.jp

 

【中編】

tunamermaid.hateblo.jp