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拍手がなければ海の藻屑

いかにドラマティックに脱衣するかを追求していくTuna Mermaid(トゥナ・マーメイド)の情報と文章。

バーレスクは「水商売かサブカルか」より「菩薩か修験者か」が合ってる気がする

 前にバーレスクは水商売の場にあるものとサブカル系パフォーマンスっぽいものにふんわり分かれてる気がする、みたいなことを書いたのですが、なんだか自分の中でしっくりきませんでした。別にみんなそれを目指しているわけではないよね……みたいな。そこで、菩薩(ぼさつ)か修験者(しゅげんじゃ)かって考えるとすごく自分的にわかりやすくなったので、お伝えしたいと思います。先にざっくり言ってしまいますと、水商売系が菩薩、サブカル系が修験者です。

 

 

菩薩系バーレスク

 「菩薩」をGoogleで調べてみると、「仏の次の位のもの。みずから菩提(ぼだい)を求める一方、衆生(しゅじょう)を導き、仏道を成就させようとする行者(ぎょうじゃ)」と出てきます。「菩提」というのは悟りのことらしいです。つまりは菩薩は自分も修行するけども、とにかくほかのたくさんの人を救うためにがんばってくれる人、みたいな説明ができると思います。これ、なんかすごく「水商売系」として説明したバーレスクのイメージと重なるように思うのですがいかがでしょう!菩薩のこの「たくさんの人のためにがんばる」みたいなところがすごくしっくりくるのです。何度も言うけど水商売の場で見られるようなバーレスクは綺麗で素敵で、だからみんなが見たいもの、美しいと思ってるイメージを現実に見せてくれるものである、と言えると思います。おそらくは踊ってる人自身も自分がいいと思うものをやってるというのは間違いないと思うのですけど、一方で、自分ではない他のたくさんの人、来てくれるお客さんがいいと思うものを提供するというのをとても大切にしてるように感じます。だからこそ、そういう人のショーがビジネスとして成立するんですよね。ですので、前に水商売系として説明したような素敵なバーレスクを「菩薩系」と名付けますと、次のような説明ができます。あるバーレスクが最初から水商売として存在してるのではなくて、

 

菩薩系バーレスク ⇒ みんなにわかる ⇒ 水商売の場にうってつけ

 

という流れになるんじゃないかなと思います。「菩薩系」どうでしょう、すごくしっくりきます!!前に「水商売系」という言葉で説明したのが全然しっくりきてなくて、それは世間的に水商売という語が良くない言葉だからというだけじゃなく、ほんとなんかこれじゃないこれじゃないとずっと感じてたのでいまとてもスッキリした気分です!ああ、よかった。ただ、どう考えてもこういうバーレスク見たら煩悩は深まりますので、そこだけは菩薩じゃないですね。

 

修験者型バーレスク

 対して修験者型バーレスクですが、もうおわかりかと思います、自分のために踊る人のことです。他の人がいいと思うことがないわけじゃないけどそこを目的とはしていない、みたいな。一番の目的は自分がいいと思うものを世に出すことである!見た人がいいと思うかどうかは二の次だ!という勢いを感じます。なので支持する人の絶対数が最初から少なそうな、だから商売にはならなさそうな、でもそれでいいと思ってそうな、そういうバーレスクがありまして、そういうのを以前サブカル系と呼びました。独自路線追求型、とでも言いましょうか。


 修験者を辞書で引いてみますと、「しゅげんじゃ…役小角 (えんのおづぬ) に始る修験道の行者。山伏ともいう。神仏両者に仕え,山岳にこもって密教的な神秘的呪法を修行する」とありました。神仏習合の人だったというのは、いま初めて知りました。ここで引きたいのは、修験者の人たちは衆生の救済を目的とはしてなさそうという点です。「自分のために修行してるだけ」みたいな悪い言い方することもできそうです。もちろんその人の修業によってまわりの人に何かしらいい影響があったりはすると思いますが、でも本格的に救われたいんだったら自分自身で修行しないとだめでしょ、という考え方してそうな気がします。そういうところがサブカル系と呼んだバーレスクまわりと似ているので、修験者型バーレスクと呼んでみたいと思います。

 

 サブカルイベントで見られるショーにはこれ面白いと思う人いるのかなあ……みたいなのが結構ある、みたいなことを以前言ったのですが、それは本人がやりたいと思うことをやるというのを一番にしてる場だから、どうしても他の人から見るとよくわかんないのが出てきちゃう、ということなんだと思います。他人のために修行してるわけじゃない、という。でもそういうところのお客さんは、そんなこともあるよねと受け入れてるように見えますので、まあ予めわかってる分にはいいんじゃないかなと思います。あと、見てると「自分が面白いと思うことやりなよ!」と直接言われてるような気がすることが結構あって、わたしもそれで始めちゃったクチなんですが、そういうのも自分で修行する修験者に近いんじゃないかと思います。

 

菩薩と修験者とスティーブ・ジョブズ

 ですので、一般の人が普通に考えればたくさんの人を救える菩薩のほうが偉いよねってなりますので、だからこそお布施というギャラも集まりますよねってことになりますので、それはそういうものなのだと思います。修験者型は、そもそものお客さんが少ないのでビジネスとして成立するかは怪しいものではありますが、でもそれもまたそういうものであると思います。ただそれでも数の面だけでは語れない価値というのはあると思っていて、それは私がサブカル好きだからというのもありますが、それだけでもないです。というのは、人が見たことないような新しい提案をするという面では、自分のしたいことをする修験者型の人のほうが絶対強いだろうと思うのです。


 先ほど菩薩が救いを授ける衆生というのを何となく「お客さん」にあてはめましたけども、実はここがそんなにあてはまってなくて、というのも、ショーをお金を払って見に来るということはその人には何かを見たいという欲望があるということで、そうなると提供する側はお客さんがすでに知ってる「見たいもの」、自覚している欲望に合わせたものを見せる、というのが大事になってきます。そういう、お客さんが欲しいと思ってるものを確実に届けられるからこそのプロですけども、そうなるとお客さんが欲しいと思ってないものにお金と時間を消費させるわけにはいかないので、そこは縛りになるだろうなあ、と思います。要するに一般流通してる美しさ・楽しさの定義から大きく外れるようなものは商売としてやっちゃだめですよね、という話です。仏教だったら菩薩が衆生の要望に合わせるなんてことはたぶんないし、救いの形は菩薩すら決められないというか、宇宙の真理としてすでに決まってるからみんなそこを目指すだけなので、話は簡単なんですけど。

 

 修験者型の皆さんはそういうの全然気にしてなくて、いや実は「お客様のために!!」なのかもしれないけどあんまりそう見えなかったりして、だから世間の基準で言ったらよくわかんない人がいっぱいいます。そういうとこに来るお客さんもその辺に寛容だったり、あと似たような人が多かったりします。でもだからといってそんな修験者型バーレスクが感覚の似た人どうしの輪で完結するかと言えば実はそんなこともなく、ときどき、たぶんほんとにときどきだと思いますけど、そういう人が世の中の人が自覚してなかった新たな欲望を見出すことがあるのです。つまりはスティーブ・ジョブズみたいな人が現れるということです。


 ジョブズは確か「人々が欲しいものを提供することに意味はない、なぜならみな自分が何が欲しいか知っているとは限らないからだ」みたいなことを言ってたと思うのですが、そういうことです。コンピューターが企業とかで黙々と使われるものだったときに、デザインがかわいくて家で使えるパソコン欲しいなー!なんてたぶん普通の人は全然思ってなかったはずなんです。でもiMacとか出てきたら、これ欲しい!というか欲しかった!なんで今までなかったんだろう!みたいになりました。なりましたよね?あの5色のディスプレイとか、使わないけど今でもちょっと欲しいですもん。だから、ポップでキッチュなバーレスクを見たいと思ってた人なんてそれまで絶対いなかったと思うんですけど、でもそれで一回見たら、これまた見たい!というかこれが私は見たかったんだ!みたいな人がいっぱいいて、だから今まで続いてきてるんだろうと思います。14期突入おめでとうございます。とはいえ菩薩系の人が新しいこと全然やってないかといえばそんなことないし、見るお客さんが全く受け入れないかといえばそれもまた違うし。だからこの辺は「ふんわり」です、「ふんわり」。

 

ほんとはカテゴライズに意味なんてないけど

 なんでこういう、今あるバーレスクをわざわざカテゴリーにして分けるようなことを書くかというと、バーレスクというもの自体があまりに世間の人から知られてなさすぎて、だからショーを一つだけ見て「ああこういうのがバーレスクなのね」って思っちゃうのを何とかしたいなあと思うからです。世の中にはいろんな好みの人がいて、だから一つのバーレスクを好きになる人もならない人も絶対に出てきます。だから、初めて見たものが好みじゃなかったとしても、次からバーレスクと名の付くものは見なくていいや……みたいになってほしくないなあと思うのです。ほんとはひとりひとりどころか一つ一つのショーは全て違うので、カテゴリーに分けて何か言うなんてさほど意味はないだろうと思います。でも、いろんなバーレスクあるらしいと知ってれば、次からも見てもいいかなと思うかもだし、それで好みのものを見つけられるかもだし、そしてそれがその人の豊かさになったりしないかなあと。そして見る人にいろんな人が増えて、そして出てくるパフォーマンスのほうもいろんなものが増えて、そんな豊かさにもっとつながったりしないかなあと。そんなふうに考えています。そうなんです、自分がいろんなバーレスクをもっと見たいから!というのが一番の理由です。

 

 で、あなたがやるパフォーマンスは修験者で、うまくすればジョブズになれないかなあとか思ってるんでしょ?とか思われたと思うんですけど、そこはちょっと違うかなあ……。どっちかというとゲイツ狙いです。

 

 

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